「12」にまつわるエトセトラ この曲な〜んだ?! – 答え合わせ&曲目解説

「12」といえば、どんな曲が思い浮かびますか?

「12」にまつわるエトセトラの答え合わせと、解説です。

「12」の数字にまつわる曲を、8曲集めてみました。作曲家の名前や、何というタイトルの作品か、わかりますか?

【ヒント】

  • ロマン派の作品
  • 練習曲といえば
  • 練習曲といえば、❷と同じ作曲家
  • 練習曲といえば
  • フランス、この曲集の15番が一番有名
  • ロマン派の作品
  • ロシア、ロマン派の作品
  • ロシア、近代の作品

「12」
にまつわる
エトセトラ

答えと解説
 

❶ ショパン作曲:エチュードop.10-12「革命」

12曲あるショパンの練習曲(エチュード)op.10の「12」番目の作品です。「革命のエチュード」として有名な作品です。

ショパンの祖国ポーランドがロシアに支配されていた当時、ロシア軍に対して起こした革命に失敗してポーランド軍が鎮圧されてしまいました。家族や友人が殺されてしまうのではないかという不安や怒りの感情で、書いたのがこの「革命のエチュード」だと言われています。ショパン本人は「革命」というタイトルを楽譜に書き残してはいませんので、後世につけられた名称です。

主に左手の速い16分音符のアルペジオのための練習曲ですが、こういう練習の時は、速い動きはさらっと弾けて、そこに乗ってくるメロディがちゃんと歌えるかが大切です。

❷ ツェルニー作曲:30の練習曲第12番

❸ ツェルニー作曲:40の練習曲第12番

練習曲で有名な作曲家ツェルニーの「30の練習曲」と「40の練習曲」それぞれの「12」番目の作品です。

それぞれ別名がついていて「30の練習曲」は「30 études de mécanisme(技巧の練習)」、「40の練習曲」は「School of Velocity(速度教本)」。30番では、メカニカルの練習を、40番は、速く弾く練習を主に目的としています。弾いてみるとわかるのですが、楽譜に書いてあるメトロノーム記号が恐ろしく速いです!書いてある通りに弾けるようになると、なんでもできそうな気がします。

30番の第12番は、3連符の同音連打の練習。40番の第12番は、アルペジオを速く弾く練習です。

❹ ブルグミュラー作曲:25の練習曲 op.100 第12番「別れ」

練習曲で有名な作曲家ブルグミュラーの「25の練習曲」の「12」番目の作品です。

19世紀中頃は、一般にピアノが普及し出した頃で、初心者でも弾ける練習曲や小品も作られました。ブルクミュラーは初心者たちのために、当時流行の音楽様式のエッセンスを伝え、同時に基本的なピアノの演奏技術の向上をはかることのできる、エチュードを作りました。「アラベスク」や「バラード」など、最新のロマン派ピアノ曲らしい標題を取り入れ、「スティリエンヌ」「タランテラ」「舟歌」といった舞曲や性格小品の様式の作品も作りました。「小さな手」のピアノ学習者たちでも親しめるように、片手が1オクターブ以上の幅の和音を使用しないようにしたり、調号は4つまで(As durの「舟歌」が最多)にしたり、2ページ以内の短くまとめたりと、工夫しました。

第12番は「別れ」というタイトルがついています。一口に「別れ」と言っても、いろんなイメージがあります。フランス語の「L’adieu」とはちょっとしたお別れではなく、もう会えないかもしれない、運命的な別離のことです。不安や寂しさを掻き立てる場面が随所にあります。

❺ プーランク作曲:15の即興曲 第12番「シューベルトを讃えて」

フランスの作曲家プーランクの15曲ある「即興曲」の「12」番目の作品です。第15番が一番有名な「エディットピアフを讃えて」です。

第12番にも副題があり「シューベルトを讃えて」とあります。ワルツのリズムになっていますが、僕の中であまり「シューベルト」=「ワルツ」のイメージがなかったんです。調べてみると、100曲近いワルツをピアノ用に作っていました。内輪の会などで、BGMのようによく弾いていたそうです。

全体的には気軽に楽しめるワルツなのですが、途中にプーランク独特な音が混じります。なんだかメビウスの輪の中をふわふわと漂っているみたい。やっぱりフランスの作曲家なんだなぁと、しみじみ思います。

❻ シューマン作曲:子どものためのアルバム 第12番「サンタクロースのおじいさん」

シューマンの、子供のためのピアノ曲集「ユーゲントアルバム(子どものためのアルバム)」の「12」番目の作品です。

タイトルは日本語では「サンタクロースのおじいさん」と訳されることが多いですが、原題は「Knecht Ruprecht(従者ループレヒト)」です。ループレヒトは、聖ニコラウスの日にあたる12月6日、プレゼントと鞭を携えて子供たちのもとへやってくるサンタクロースである。良い子にはご褒美としてプレゼントを、悪い子には鞭でお仕置きをする。そのため、「黒いサンタ」のイメージもあります。初めの部分と中間部では、このような対照的な場面が表されています。

❼ チャイコフスキー作曲:四季 op.37bis 第12番「クリスマス」

ロシアの作曲家チャイコフスキーの、12曲から成るピアノ曲集「四季 – 12の性格的描写 op.37bis」の「12」番目の作品です。ペテルブルクの月刊誌『ヌウェリスト(小説家)』上で連載された作品で、12ヶ月に対応した12の小品から成ります。

12番は12月の風景で「クリスマス」です。各曲に、詩が引用されていて、12月はジュコフスキィの詩が当てられています。

クリスマス週間―12月
洗礼祭期のある晩に
娘たちは占った
履いている靴をすっぽりと
門の向こうへ放り上げて。

祝祭のムードがワルツの音楽にのせて描かれています。

❽ スクリャービン作曲:12のエチュードop.8 第12番「悲愴」

ロシアの作曲家、スクリャービンの「12のエチュードop.8」の「12」番目の作品です。

スクリャービンのピアノテクニックで特徴的なのが、1オクターブ以上の幅で大きく移動するアルペジオの伴奏系と、和音の連打です。この作品にも両方のテクニックがみられます。

「悲劇的」という印象もありますが、ロシアの作品で「悲劇」というと「英雄」というイメージも付いてきます。とても寒い、銀の世界を感じられる名曲です。

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