休符も音楽。お休みばかりの4分33秒

音を鳴らす記号「音符」ばかりが音楽ではありません。音がを鳴らさずにいる記号「休符」もまた音楽です。

クラシックの作曲家の方々は、ちゃんと音をどこで止めて欲しいか、ということを休符を使って教えてくれているんです。意外とこの「休符」を守って演奏すると、面白い効果が表れたり、丁寧に弾いているように聞こえてきます。

日本でいうと、よく使われる言葉が「間(ま)」ですね。「間」というのは聴く人にとって、とても不思議な感情を抱かせます。それは・・・

「不安」

音楽なので、聞いている人は次々と奏でられる音をたどっていきます。そこで音がなくなる「間」があると、「どうして次の音がないんだろう」という不安にかられるんです。そこで、満を辞して次の音を鳴らすと「音がちゃんと聞こえてきた」という「安心感」を得ることができます。

この「不安」から「安心感」への心の揺さぶりが、人間が奏でるライブ音楽の一つの楽しみなんじゃないかと思います。「次どうなっちゃうんだろう」・・・「なるほど、こうなるんだ」という物語を聞いているみたいです。そのために、「間」を使ってみたり、「和声」を使ってみたり、「不協和音」を使ってみたりします。「間」のとり方が上手い演奏というのは、かなり気持ちが引き込まれる感じがすると思います。演奏する際、演奏を聴く際に、ぜひ「間」の取り方に注目してはいかがでしょうか。

ところで、「間」といえば、この音が鳴らない「間」だけでできた曲があります。「トリビアの泉」など、様々なテレビでも紹介されていますので、結構有名になった曲です。
アメリカの作曲家ジョン・ケージの作品「4分33秒」です。この曲は1音も楽器を演奏しません。ただそこに時間が流れているだけ。この作品を聴いて、「休符」もちゃんと「音楽」なんだと感じて欲しいなと思います。音楽は「時間を飾る芸術」です。だから、この曲は「無」で時間を飾っているわけです。しかしながら聞いてみると気付くんです。「音がなくなることはない」ということが。楽器の音が聞こえなくても、空調の音、遠くから聞こえる救急車の音、さらに、自分の中を流れる血液の音に気づいたりすることもあります。
「4分33秒」という長さに意味があるのか・・・例えば、「4分33秒」は「273秒」。「273」といえば、絶対零度の数字と同じです。いろいろと思いを巡らせましたが、結局のところ「4分33秒」は、初めて演奏された時の長さが「4分33秒」だったので、そう名付けられたんだとか・・・(笑)しかも、3つの楽章に分かれています。第1楽章が33秒、第2楽章が2分40秒、第3楽章が1分20秒。楽譜も出版されていて、紙切れ1枚に、「1、2、3」と3つの楽章があることが書かれているだけです。2000円くらいで購入できます(笑)

「John Cage 4’33” / edition PETERS」

この曲で思うことは、「はじまり」と「終わり」をつけると、「作品」になるということです。4分33秒間を切り取ると、一つの音楽作品になるんです。いつ始まるのか、いつ終わるのかを決めないと、「作品」とは言いにくいのではないでしょうか。

この「4分33秒」という作品ですが、演奏する楽器の指定はありません。ですから、いろんな方が、いろんな楽器で演奏をしています!変わった楽器で演奏されている動画をご紹介したいと思います。

スタンダードなピアノ演奏

オーケストラで、ソリスト付き

猫が

初音ミクが

なんと、デスメタルバンドが!!!

本日の音楽の時間はこれまで!

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